著者 : ◆XoPr4cCBXY 氏
その6 - >>621
開始:07/05/17
最終:07/05/17
その6 - >>626
【 無差別格闘流 】
「シャンプー!最近ムースが一緒じゃないけど、どうしたの?」
後ろからあかねに声をかけられ、シャンプーが振り向いた。
「ムースの事なんて知らないね」
「だけどいつもシャンプーの事、追い掛け回してたじゃない」
「わたし、男的乱馬が好きね。ムースなんて知らない」
シャンプーは口ではそう言いながらも、ムースの事が気になっていた。最近、猫飯店にも全く姿を見せていないのだ。
出前を終えて猫飯店に戻っても、やはりムースはいなかった。
622 :無差別格闘流 ◆XoPr4cCBXY :2007/05/17(木) 00:58:04 ID:fHheZQG+
「ひぃばぁちゃん、ムースなんでいないのか?」
「わしもわからんのじゃ。この忙しい時期にどこに行ってしまったんじゃろうな」
「わたし、ちょっと探してくる」
シャンプーは猫飯店を飛び出した。
つきまとわれている時は『お邪魔虫』としか思えなかったムースを心配している自分にシャンプーは驚いていた。
「なんでムースの事を心配しなくちゃいけないね!」
自分の気持ちに反抗するようにシャンプーはそう言った。
1時間ほど探してもムースは見付からなかった。
シャンプーは疲れて川辺に腰を降ろした。
「グァッ」
近くでアヒルの鳴く声が聴こえてきた。
「ムースか?」
鳴き声の方へ向かうと、一羽のアヒルが泥だらけで倒れていた。
「お前、ムースなのか?」
シャンプーが聞くと、アヒルは コクッ とうなずいた。
「今お湯持って来る。ちょっとここで待ってるよろし」
シャンプーは大急ぎで猫飯店に戻り、やかんにお湯を入れてきた。
シャンプーがアヒルにお湯をかけると、アヒルはムースに変化した。
「ムース、いったい何があった?」
「10日くらい前にブローチを無くしたじゃろ?」
10日前、出前中にシャンプーは大切にしていたブローチを落として無くしてしまったのだ。
「シャンプーが大事にしちょったブローチじゃったから、おら頑張って探しとったんじゃ」
「ムース・・・」
「ほら、見てけろ!」
ムースの手の平には、シャンプーの無くしたブローチが泥だらけになってのっていた。
シャンプーは目から溢れ落ちるものを我慢する事が出来なかった。
「ムース大好き!」
シャンプーはムースに抱きつき、頬にキスをした。
「おらゎこの世で1番の幸せ者じゃあ〜」
「ムース、早く家に帰って服着るよろし」
ムースはシャンプーに言われて、初めて自分が全裸である事に気づいた。
「シャンプ〜おらに水かけてくれじゃあああ〜」
(終)