著者 : 名無しさん@ピンキー ID:jdAmam4f 氏
その1 ー >>448
開始:03/07/30
最終:03/09/25
その1 − >>455
【 無 題 】
昼下がり、校門の前に一人の男が立っていた。大きなリュックを背負い、バンダナを巻いた男、響 良牙だ。
相変わらずの極端な方向音痴のため、乱馬との果たしあいに2ヶ月も遅刻をしてしまっていた。
そこへ良牙を見つけた女の姿のらんまが駆け寄ってきた。
「よう、良牙、今回は特別遅かったな、早速やるか?果し合い?ちょっと体の調子が悪いけどな」
「おい、らんま、てめー俺をおちょくっているのか?女のままの姿のお前と闘って勝ても嬉しくもなんともねーんだよ!」
と、良牙は怒鳴りつけた。
「まあ、色々と事情があってよ・・・実は男に戻れねーんだよ」
らんまは情けなさそうに答えた。
「はあ、お前また八宝菜のじじいにちょっかいかけて、ツボかなんか押されたのか?」
「まあ一応じじいはからんでいるんだけどよお・・」
とらんまが話し始めてすぐ、あかねがらんまを追ってきた。
「あんたねー、いまの自分の体の状態分っているの?良牙君と果し合いするなんていってたけど、今の状態で闘うつもりじゃないでしょうねぇ?」
らんまは、おなかと背中をさすりながら
「いや、まあ、できねぇことは無いかなぁと・・・まあ気持ち悪いし、背中と腹が内側から痛いけど・・・」
「まさかお前・・・」
良牙は言葉を詰まらせた
「おう、察しの通り、せ・い・り というものになっちまってよ、体がだるくて仕方ねーんだよ」
「大体お前待たせすぎなんだよ、2ヶ月だぞ、あと1ヶ月早く来てくれれば完璧な男だったのによ・・・」
「お前、いったい何が・・・」
喧嘩仲間であり、恋敵でもあるらんまの変わり果てた姿に言葉が出なかった。
「いや、話せば長くなるんだけどよ・・・」
らんまはゆっくり話し始めた・・・
今から1ヶ月前の事・・・
何時ものように早朝から親父と組み手をやっていたんだが、あさっぱらから八宝菜のジジイが
目の前で盗んできた下着にアイロンかけ始めやがったんだ。そこで盗んだ下着を全部庭に落
としてライターで火をつけてやっら、どこからか柄杓を取り出して池の水を必死に下着にかけ
やがるんで、その柄杓を取り上げて八宝菜のジジイをぶっ飛ばしてやったんだよ。まあその
時に柄杓の水を被って女になたっが、いつもの事だし、別に気にもとめることも無かったんだ
が、その柄杓の水を被ってからというもの、お湯をかけても男に戻らなくなってしまったんだ。
良牙も覚えているだろうが、ハーブのヤロウが来日した時に俺にかけた、止水桶で汲んだ水
と同じ効果があったって訳だ。
その止水桶の柄杓は柄杓で汲んだ水だけでも効果があるらしく、全く同じ効果が得られるらしいことが分ったんだ。
しかも何故ハーブが持ち帰ったはずの止水桶が日本にあったかというと、実は止水桶は全部で5個作られており、
その繊細な彫刻が高値を呼び世界中に散らばっていったのだが、悪党の八宝菜がどこぞで盗んできたものが天道家の納屋にしまわれていたようだ。
俺もハーブに何とか連絡を取ってみたんだが、男に戻る為の開水壷は国家レベルの重要文化財らしく国外持ち出しは不可能らしいんだ。
中国へ渡ればハーブが取り合ってくれるそうだが、どうしても今俺が中国に行けない訳があってな・・・それは・・・
後2日休むと強制的に留年しちまうんだよなあ
横からあかねが口を出す
「あんたが、山ごもりだ、修行だ、と学校休みまくっていたのが悪いんじゃない」
「そんなこといってもなぁ・・・まあほら学年末テスト終われば春休みだし欠席日数もリセットされるしな」
「あんたね、授業中いつも寝ていて、点数取れるの?」
「ほらいつもあかねが俺にカンニングさせてくれるじゃん、あれでいいよ」
「ちょっとは努力しなさい!あんたそんなんだと天道道場なんて継がしてくれないわよ、お父さんのモットーは文武両道だから大学まで進学してもらうつもりなのよ、特にあんたには」
「おっ、俺と結婚してくれるのか?少しは可愛くなれよ、俺みたいに」
「一ペン死んでこい!」
トカーン!らんまは遠くに飛んでいった
「良牙君ごめんね、そういえば良牙君って高校どうしているの?」
「ああ、俺はいま休学しているからね、来年からまた通うけど」
良牙は続けて
「俺は修行で中国に行く予定があるから、ハーブに頼んで、開水壷の水を持ってきてやってもいいよ、
それでらんまを男に戻して勝てたら、つ、つ、つ・・・いや帰ってから続きを言うよ」
良牙は顔を赤くしながら、あかねの前から去っていった。
「へぇ〜良牙君って友達思いねー、らんまと大違い」
あかねはらんまににも見習ってほしいものだと思った。
良牙は中国に渡り、男溺泉につかり完全な男に戻って、らんまを倒し、あかねに交際を申し込むつもりでいた
一応開水壷の水は持ってきてやるつもりだったが、当然それでは恋敵のらんまにあかねを奪われてしまうの
止水桶の水も同時に持ってきて後でもう一度かけてやるつもりでいた
天道家
「ただいまー」
かすみが玄関で出迎えてくれた
「あかね、らんま君の体の調子どう?初めての経験で大変でしょう?フォローしてあげてる?」
「はいはい、してげてますよ、はぁ〜もう自分でやってほしいわよ、こんなに血がが出て死なないよな?とか直るんだろうな?とかうるさいのなんの」
らんまが怒る
「お前な、俺は生理初体験なんだぞ!お前に夢精初体験が分らないようにだな・・・」
「分りたくありません!」
あかねは怒って自分の部屋に行ってしまった。
らんまはつくずく女は大変だなあと思った
いつも変身気分で女になっていたが、実際女を長くやってみると非常に大変なことに気が付いた
女になってすぐは体毛が無くなるのだが、しばらくすると脇の下とか、脛とかに黒い毛が生えてくるのである
男に比べれば随分と薄く目立たないものなのだが、女でいる以上、気にはなる、
男の髭剃りと比べると剃るのが面倒くさいの何の、あかねからレーザー脱毛器なるものを借りて使ってはいるものの本当面倒くさい
朝は寝癖も気になるので朝シャンは欠かさなくなった。
男の時は寝癖がつこうが、歯を磨かなかろうが、にんにく料理を食べようが、髭を剃らなかろうが殆ど気にはならなかったし
女に変身するのもほんの一時で、長くても精精1週間程度だったので全く大変さには気が付かなかった。
家に居ても暇なのでらんまはうっちゃんの家に遊びに行くことにした
「うっちゃん、お好み焼き1枚くれー」
「あっ、らんちゃんどうしたの?こんな時間に」
「いや家に居ても暇だしな、遊びにきた」
「うれし〜らんちゃん、あかねちゃんより、うちと居る方が楽しいんやろ」
「いやなんか俺長いこと女で居るんだけど、正直そうかもしれん」
「てれるやないか、らんちゃん、よしっ、うちのおごりで特大モダン焼きつくっちゃる」
「うっちゃん、俺な、長いこと女で居るからかもしれないけど同性の可愛い子にあまりトキメかなくなっちゃってな・・・」
「なんや、らんちゃん、あかねちゃんに ついにときめかなくなったん、うちにのりかえや」
「いや本当にもし俺がこのまま女のままだとした場合、うっちゃんが男だったら付き合いたいかなと少し思ってみたり・・・」
右京はすこしムッっとして
「うちは女やで、お・ん・な」
らんまは慌てて
「いや、なんか最近ちょっと自分の中で何か変わりだして、変なことを口走ることがあるんだよねー」
「らんちゃん、女に目覚めはじめたんちゃう?」
「らんちゃんがうちと結婚してくれるなら、うちが男になってらんちゃん養ってやってもいいで」
らんまはびっくりして
「ちょっと待て、うっちゃん、それは男溺泉に入って止水桶使うって事か?」
「そうや、べつにええやろ?うちは職人やで、らんちゃん一人位食わしていけるわ、それにらんちゃん家事得意やろ?専業主婦でええやんか?」
「それに元々うちは途中まで男として生きてきた女や、別に本当の男になるのに抵抗はあらへん、まあそれはらんちゃんが結婚してくれればの条件付きやけどな」
「いや、俺のために女をやめることは別にしなくてもいいよ、男は色々と大変だよ、例えば・・・」
「なにいってんねん、男の方が楽やろ?」
らんまは小さく
「そうかも・・・」
とつぶやいた。
しばらくらんまはお好み焼きを食べつつ、しばらく考えていたが、
「うっちゃん、俺が男に戻れなければ、俺が男溺泉につかればいいんじゃないの?」
と右京に言った。
「な〜んや、らんちゃん気がついた?但し、うちはらんちゃんが男でも女でも好きなことには変わりない、と言いたかったんや」
「まあ、気持ちは嬉しいんだけどよ、よ〜く考えてみろよ、ストレートに聞くけど自分が男になって女の俺とそういうことが出来るのか?」
「そんなもん、その場になってみないと分らないやんか、うちはらんちゃん自体が好きなんやけ、らんちゃんが男なら、うちは女のまま、もしらんちゃんが女のままだったら、うちが男になるだけや」
「そんな単純な問題じゃないような気もするけどな・・・」
「らんちゃん、さっき女のままだったら、うちが男だったら付き合いたいとか言ってたやん」
「う〜ん、まあまんざら嘘ではないんだけどね、ただ元々男の俺がだ、男のうっちゃんなら付き合ってもいいなんて思うこと自体やばいよ」
「まあまあらんちゃん、あまり深く考えんとき、今日家に泊まっていく?女同士やし、あかねちゃんもなんも言わんやろ?」
「いや、まあ今日は家に帰るよ、お好み焼きごちそーさん」
らんまは右京の家を後にした
右京は、女であるが故に、女に興味が薄くなってしまったらんまが、元々男として過ごしてきた自分に対し、興味を持ち出してきたのだろうと思った。
「これは千載一遇のチャンス、このままあかねちゃんに興味が無くなればうちと一緒になりたくなるはずや、よっしゃーこうしちゃおれへんでー」
しかしどうすればらんまが自分に振り向いてくれるかを考えてもイマイチいい考えが浮かばない。下手に事を起こせば折角自分に傾いてきたらんまの気持ちを壊す可能性もある。そんな時、右京はある出来事を思い出した。まだ自分が男として生活をしていた頃の話である。
「そうや!昔うちがまだ男子校におった時妙な噂があったな、あの噂がもし本当なら上手くいくかもしれへんで、早速準備開始や」
右京はそういうと、部屋の奥に入っていった。
再び天道家
「ただいまー」
「おお、らんま君お帰り」
早雲が玄関先で買ったばかりのゴルフセットを磨きながら らんまを出迎えた
「そういやらんま君、何時になったら男に戻るのかね?いっそのことあかねを男にしてしまうか?わっはははは・・・」
「うっ・・・それは・・・(右京と同じような考え方をしてやがる)」
早雲はらんまが困っているのを無視してしゃべりつづけた
「いいじゃないか、らんま君、あかねは家事も全く出来ないんだよ、とりえと言えば男勝りの拳法家ということくらいだ、
らんま君、君は家事も結構得意そうじゃないか、この際入れ替わったらどうだ?」
「いや、まだ心の準備が・・・っじゃなくて俺は男なの、女になんかならないからな!」
「そんな姿で言っても説得力ゼロだよ、らんま「ちゃん」わははは・・」
「くそ〜馬鹿にしやがって・・・」
らんまは腹が立つので早雲とはこれ以上じゃべらず、最近2階の空き部屋を整理して出来た自分の部屋に行くことにした
女になってから暫くして、親父と一緒に寝ると耐えられないほどの嫌悪感を抱くようになってしまった為に、無理を言って一部屋空けてもらった部屋だ
部屋に入ってベットに横になりながら、らんまは部屋を見回してみた
テレビや机の上には可愛いぬいぐるみが沢山飾ってある。小奇麗に整理された部屋にはかわいらしい文房具なども目立つようになってきた。
「はぁ、俺の部屋なんだよなあここ、昔は親父と一緒の部屋で、トランクス1枚でマンガ読んでたりしたのにな」
自分が心まで女になっていくのは耐えがたいのだが、自分自身の興味の対象が明らかに男の時とは変わってきており、自分自身ではどうしようもなかった
「やばいな、真剣になんとかしなければ・・・」
しばらく考え込んでいると、あかねの声がした
「らんま〜ご飯よ〜〜」
「お好み焼き食ったからあんまり腹減ってないな・・・、まあいいや食べに行くか」
面倒くさいことは明日考えることにして、今日はもう何も考えないことにした